巻柏の植え替え

 小苗のうちは毎年1回植え替えるようにすると良い成績が得られます。根を緩めるように順次鉢を大きくしていきます。10号鉢を越えるような大株は4~5年に1回を目安に植え替えます。植え替え適期は、真夏を除いて葉桜の頃から秋の紅葉までです。一般的には初夏までに終わらせるのが良いとされています。

① 今回の例では4号鉢に植わっている「旭光」を、4.5号鉢に植え替えます。植え替え前の様子。

② 植え付け時に元肥として鉢の下部に入れる緩効性化成肥料(右上)および、鉢の表層部や追肥に利用する有機肥料(左上)や化成肥料(下)。培養土は、水はけ・水もちのよい弱酸性土壌であれば問題はなく、多くの場合、硬質鹿沼土単用で培養されている。

③ 鉢から株を取り出した様子。根がまわって鉢の形状に固まっている。

④ ピンセットでつつくようにして根をほぐす。鉢の形状に固まった根の塊に対して、内部に空気が入るようにするイメージ。初心者の方は恐る恐る土をほぐされるかもしれないが、根は意外と丈夫である。

⑤ 土をほぐす際のこつは、表土の汚れた土や苔を取り除くこと、表土の肩の部分(鉢に接していたへりの部分)をほぐすこと、株の中央真下の古い土を若干えぐるように取り除き袴のようにやや広げることが挙げられる。ただし、根が弱って貧弱な場合は無理に力をかけないようにする加減も必要である。写真の左手親指の先に見られる黒い箇所は、昨年に入れた有機肥料。時間経過と共に崩壊している様子を示す。

⑥ 元の鉢より一回り大きなサイズの鉢を用意し、鉢穴に網をかぶせる。※ 巻柏の培養に用いる鉢は、鉢の直径に対して鉢の高さが同じかやや低い形状が一般的に利用されている。

⑦ 鉢底にゴロ(大粒の硬質鹿沼土。以下培養土は同じ)を入れる。

⑧ 株を収めた際の高さを考慮しながら中粒を敷く。元肥の緩効性化成肥料を入れ、再度用土を薄く敷く(根が直接肥料に触れない手立て)。

⑨ 株を鉢の中に収めた様子。

⑩ 用土を追加する。

⑪ 割り箸やピンセットで用土を根の間によくすき込む。

⑫ 置き肥をのせた後、鉢のへりまで小粒~中粒の用土を追加して植え付け終了。※ 今回の植え替え例では有機肥料4個、化成肥料4個を入れた。

⑬ たっぷり灌水する。

⑭ 完成。

● 植え替え実技・協力: 鈴木(喜)氏 (栃木支部)